「認知症の万引き」

介護職のあるある

スーパーで買い物をするIさん

Iさんは軽度認知症ですが、独り暮らしをしていました。


デイサービス、訪問介護を利用をしていました。

さらに、セキュリティ会社の見守りシステムも利用していました。

近くのスーパーに買い物に行くのが日課でした。


時々、私や他の職員が買い物に行くと、

Iさんを見かける時がありました。

けっこう長い時間、隅から隅まで食品を物色していました。


しかし、いつも決まった食パン、牛乳、バナナしか

カゴに入っていません。


さらに、レジでは細かいお金を払う事が出来ずに

1000円札や10000円札で払っているようです。

ヘルパーさんの話でも、

「自宅には小銭がたくさん散らばっている」との事。



まさかの出来事

ある日の夕方、Iさんのケアマネさんから電話がありました。

「実はIさんが万引きをしたらしく・・・」と。

ビックリしました。

Iさんが首にかけていた手作りのお守りの中に

家族やケアマネの連絡先が入っていました。

これはデイサービスで一緒に作ったお守りでした。

それを見つけた店長さんがケアマネさん、家族に連絡をしたそうです。



「えー。Iさんが万引き?」

Iさんは本当に真面目な方で、人柄も頭脳も非のない方だったので

信じられませんでした。

「一体、何を万引きしたのだろう・・・」


どうやら万引きしたものは

「セロハンテープ」だったようです。

セロハンテープをポケットに入れたところを

他のお客様が発見したようでした。

セロハンテープ???

息子さんが3時間かけてスーパーへ駆けつけたそうで

「認知症であること」を説明し、謝罪をしたそうです。

このスーパーには毎日Iさんが買い物に来ていたため、

スーパーの人も良く知っていました。

なので警察には通報はしないでくれたようです。


「まさか、お母さんが・・・」と息子さんのショックは

相当なものであったと思います。

Iさんは、エリートな息子さんを3人も育てたお母さんでした。

息子さんは十分謝罪をされ、スーパーの店長さんも

「これからは見守りますね。みんなに言っておきますね」と

言ってくださったそうです。

息子さん、ケアマネ、私たちは

「盗むなんてあり得ない。認知症がそうしてしまった」

「ポケットに入れてしまっただけ」

と信じました。

この出来事はショックでしたが、

それよりもIさんが心配でした。

認知症のIさんはおそらくセロハンテープをポケットに入れた事は

覚えていないでしょう。


セロハンテープをポケットに入れてしまい、

なぜか、他のお客さんに罵倒され、

なぜか、店長に引き渡され、

なぜか、わからないのに、

わからない事を聞かれ、言われ、

混乱をしたと思います。

怖い記憶だけが残っているのではないか・・・。


その夜は息子さんが泊まり様子をしっかり見守ったそうです。

次の日はデイサービスでした。

しかし、私たちの心配をよそに

Iさんはいたっていつも通りでした。


前日のスーパーでの出来事をすっかり

忘れてしまっているようでした。



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