「K子さん事件」

大好きな認知症K子さん

K子さんが吐いた

ある日、K子さんが突然、「うっ!」と吐き気を催していました。

「え?」「大丈夫?」

K子さんはADLは排泄以外は自立ですが、意思の疎通が困難な時が多く、

要介護3の認知症の方です。

その日は吐き気を催しながらも、なんと自分でトイレに駆け込んで、

「おぇ」「おぇ」と吐いていました。

どうしたんだろう・・・。

少し治まっては、また「うっ!」「おぇ~」を繰り返していました。

介抱していると、

「ありがとね。おねぇちゃん」「少し楽になったわ」と。

そういう時のK子さんは至って「普通の人」です。

吐き気の原因はなんだろう。

ご家族に心当たりがあるか、電話で聞いてみました。

すると「え~、どうしてだろう。」と言われましたが、

「あ、ちょっと待って!これかもしれない」との事。

どうやらお菓子の乾燥剤を開けて食べてしまっていたようです。


そうK子さんは、いわゆる「異食」をしてしまいます。

ボタンでも食べてしまいます。

幸い、大事には至らずに回復しました。



K子さんが行方不明

デイサービスで工作をしていた時のことです。

K子さんは参加できませんが、ベッドに座って落ち着いていました。

片付けをしたり、皆がトイレに行ってバタバタしている時に、


「あれ?K子さんがいない!!」

K子さんが室内からいなくなっていました。

慌てて玄関に行くと、私の靴がなくなっていました。

外に出て回りを探すと、遠くに傘を差して歩くK子さんを発見!

「あぁ・・・良かったぁ」

「K子さぁ~ん」と声をかけると振り向いて戻ってきてくれました。

K子さんは私の靴を履き、傘を差し、片手にはひざ掛けを持っていました。

「ひざ掛け?」

そのひざ掛けは、要介護5の車椅子のTさんが膝に掛けていたものでした。

Tさんはトイレに行っており、ひざ掛けは机に置いてありました。

どうやら、Tさんがトイレに行ったため、

K子さんはいなくなったTさんにひざ掛けを渡そうと探しに行ったのだと思います。


認知症のいわゆる「徘徊」という行動には必ず意味があると思います。

優しいK子さんならではの行動。

ひざ掛けをTさんに掛けてもらうと、ホッとしたK子さんでした。






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