※シック（Sick）=病気
認知症の八重ちゃん。
お風呂拒否が強いだけでなく、
夕方になると
ソワソワ。
いわゆる「夕方シック」が始まります。
顔は険しく。
テーブルを「ドンドン！」と叩いたり、
他の方が持っているものを指さして
「あれ、私のん」と
すべてが自分の持ち物と思い込まれていました。
そして、大正生まれの八重ちゃんの娘さんが
小さいわけはありませんが、
「うちでチビが泣いてるかもしれん。はよ帰らな」
と言ってみたり、
亡くなったはずのお母ちゃんを
「お母ちゃんがな、待っておりますねん」
という理由で早く帰りたいと
何度も何度も
訴えられました。
気持ちをそらすために、
歌を一緒に歌おう、とか
ゲームを勧めるのですが、
スイッチオン！の時は
何をしてもダメ・・・。
そして、カバンを探したり、
他の方のカバンを自分の物と思い込まれ、
混乱が始まります。
なので、八重ちゃんの利用の際は、
皆さんのカバンを見えないところに
隠していました。
やっと送迎の時間になったため、
「八重ちゃんバス出るよ～」と声をかけますが、
「私、忘れ物してへんかなぁ」や
「この靴、私のんやない！」と
混乱が始まります。
あんなに帰りたいって言っていたのに・・・
「あれ本当に大阪行きのバス？」と
あれこれ言って
なかなか足が進みませんΣ(￣ロ￣lll)
なんとか車に押し込み
出発！！
しかし、車の中でも
呼吸が荒く、
険しい顔。
他の方も乗っていて
その方々が笑顔で話しをしていると
「あぁ～、ちょっとぉ、奥さんたち
何そんなにお気楽ですのん。
私がこんなに困っているのに」
と。
スマホで八重ちゃんの好き曲をかけて
私が歌っても、
ダメな時はダメで。
ここは大阪ではありませんが、
大阪と思い込まれているので
「このバス、本当に家に帰るバスですのん？」
と不安になられていました。
やっと、
「市役所」や「郵便局」が見えると
「あ、娘んちに行くん？」
と我に帰るのでした。
そして娘さんの顔を見ると
それまでの険しさは何だったの？
ガラリと表情が変わって
笑顔～☻
でもいいんです。
笑顔で帰る事が出来れば！！
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